あかつき川柳会の第131回定例句会は、6月9日(金)に投句32名を含め103名の参加で開かれました。初出席は京都市の前中 一晃さん、初投句は美作市の大杉 敏夫さんと生駒市の小針 毅志さんです。今月の「お話」は番傘みどり川柳会の田中 螢柳さんが、「湖北の十一面観音を訪ねて」と題して、井上靖の「星と祭」に出て来た十一面観音に魅せられて訪れたご本人のエッセイ集「古都暮色」をベースに話されました。田中 螢柳さんは井上靖の「星と祭」の主人公・架山と大三浦の二人の父親が鎮魂と心の癒しで訪れた琵琶湖周辺の観音様を、北陸線「木ノ本駅」(昔懐かしい旧北陸本線の駅)を起点に医王寺、己高閣、石道寺、向源寺、充満寺、赤後寺と訪れ木ノ本駅へ戻られたそうです。 滋賀県と言えばだれもが思い浮かべるのが湖東三山のようです。滋賀県湖東地方の西明寺、金剛輪寺、百済寺の三つの天台宗寺院の総称で、琵琶湖の東側、鈴鹿山脈の西山腹に位置し、百済寺の南東に位置する永源寺と共に紅葉の名所としてよく知られています。ただしシーズンになると観光バスや自家用車で訪れる人が多く、とても田中 螢柳さんのような十一面観音をゆったりとみるような雰囲気ではありません。(今回のリニューアルが大幅に遅れ申し訳ありません。次回は8月12-13日にリニューアルを行ないます。) | |
白 鈴木いさお 選 |
(天の句) | 白い飯食べたか若い兵の墓 | 美子 |
(地の句) | 日の丸の白い部分が風邪をひく | 喜八郎 | |
(人の句) | 白が好き中途半端な色よりも | 喜八郎 | |
(佳 吟) | 忖度の度合いで決まる白と黒 | 一志 | |
野イバラの白に邪心を悟される | 浩子 | ||
白無垢にひた隠しするツノやキバ | 久美子 | ||
黒いモノ白と通した悔いがある | 栄子 | ||
自分史の余白へ夢のてんこ盛り | 隆昭 | ||
(軸 吟) | 本当は真っ赤になりたかった白 | いさお |
誇る 長川 哲男 選 |
(天の句) | フルマラソン伴に走ってくれた友 | 英夫 |
(地の句) | 聞き上手誇りにされていいですよ | ダン吉 | |
(人の句) | 五臓六腑欠けてないのが自慢です | ばっは | |
(佳 吟) | 九十二川柳作家誇りです | 美世子 | |
誇るもの無いけど妻と二人の子 | いさお | ||
日本の便座は世界一らしい | 哲男 | ||
おばあちゃん聞いて一〇〇点取って来た | 昌代 | ||
父の名を一字もらったのが誇り | 保州 | ||
(軸 吟) | 大阪の背骨上町ここに在り | 哲夫 |
飯 原田すみ子 選 |
(天の句) | 大家族支えた父の飯茶碗 | たもつ |
(地の句) | 飯終える何を怒ってたんだろう | ダン吉 | |
(人の句) | 飯の島徐々に崩して食うカレー | 義泰 | |
(佳 吟) | 不良の孫今朝もご飯をたべたろか | シマ子 | |
立ったまま飯を掻き込む稼ぎどき | のぶ久 | ||
家族の輪三度のめしで和み合う | 一文 | ||
一合を研ぐ淋しゅうない辛うない | 喜八郎 | ||
ポロポロと飯つぶこぼし生きてます | 浩子 | ||
(軸 吟) | 粗末でも手抜きはしない母の飯 | すみ子 |
真剣 片岡 加代 選 |
(天の句) | 国会に不足している真剣味 | 和雄 |
(地の句) | 真剣に怒ると腹が空いてきた | 一歩 | |
(人の句) | いのちあるもの皆真剣に生きている | たもつ | |
(佳 吟) | 僕だけが真剣だった片思い | 篤 | |
いつだって本気モードの母の愛 | 朝子 | ||
真剣に取り組んで欲しい核のゴミ | 満知子 | ||
真剣にロボットだけが働く日 | 勝久 | ||
就活にまだ真剣に向き合えず | 篤 | ||
(軸 吟) | 小さい手も真剣に折る千羽鶴 | 加代 |
時事吟 三宅 保州 選 |
(天の句) | いつか来た道へやっぱり戻りそう | 加代 |
(地の句) | そのうちにミサイル予報要る気配 | 義泰 | |
(人の句) | 値上げラッシュ民のかまどは賑わわず | 福貴子 | |
(佳 吟) | アランドロンも私も齢をとりました | 加代 | |
諸物価の値上げ葉書よお前もか | ひろ子 | ||
ゆるキャラが木陰であせも搔いている | 久美子 | ||
戦死の兄蛍になって会いに来よ | 朝子 | ||
母さんの好物だった枇杷熟れる | 廣子 | ||
(軸 吟) | 国民のために忖度すべきです | 保州 |