あかつき川柳会第134回定例句会は投句者36名を含み91名の参加で9月8日に開かれました。「お話」はあかつき川柳会の加山勝久さんが「再び、多喜二・鶴彬・尹東柱(ユン・ドンジュ)を作らないと題して、1928年に実施された第一回普通選挙で、激しい選挙妨害にも拘らず労農党等から山本宣治たち8名の議員が誕生したことに驚いた政府は選挙直後の3月15日に日本共産党・労農党党員1600人余を治安維持法違反で逮捕、その事実を小説で発表した小林多喜二も1933年治安維持法違反で逮捕、虐殺。金沢第七連隊赤化事件で鶴彬を逮捕、その後も反戦的な川柳で政府を攻撃した鶴彬を再逮捕・虐殺。同志社大学へ留学中の朝鮮人詩人、尹東柱(ユン・ドンジュ)を、在日同胞や日本人と朝鮮独立を企てたと治安維持法違反で逮捕、獄死、等の例を挙げて戦前の「治安維持法」そっくりの「共謀法」の危険性について話されました。

反戦平和の活動は戦時は勿論 平時にも必要だと、愛知県で活動している愛知平和遺族会の青木正雄さんの話を紹介、ペリリュウ島で戦死した彼のお父さんの遺品「血染めの日章旗」は米軍人が戦利品として米国へ持ち帰りましたが、69年ぶりに彼のもとへ帰ってきました。彼は「人を殺し、殺される戦争」に反対し、還ってきた血染めの日章旗を掲げ反戦平和活動・平和の語り部として活動しており、その血染めの日章旗を句会参加者に回覧しました。
磨く
川端 一歩 選
(天の句) 丁寧に今日も磨いて生きている たもつ
(地の句) 逆風に耐えて男の技磨く 壽峰
(人の句) ライバルがいて私が磨かれる 栄子
(佳 吟) 選挙に備え見抜く力を磨かねば 敏子
凄腕の上に努力を重ねてる 久美子
磨き甲斐ある原石に巡り合う 克己
美しく心磨けばいい笑顔 朝子
心の垢磨けば素直なる心 朝子
(軸 吟) 実力はないので辞書を友とする 一歩
倒す
大堀 正明 選
(天の句) 徳利を倒して愚痴が長くなる のぶ久
(地の句) 私を倒せる者は私だけ 美世子
(人の句) ときどきは今を倒してみたくなる 美子
(佳 吟) 宿敵を倒し燃え尽き症候群 敏子
鶴彬倒した風が生臭い ダン吉
悪政を倒す力は民の声 善之
6Bで悪玉倒す策を練る たもつ
雑草の踏み倒されて強くなる 朝子
(軸 吟) ライバルを倒した途端目が覚める 正明

久保田千代 選
(天の句) へその緒がカラカラと鳴る母の檄 浩子
(地の句) 五つ星越えてた母の塩むすび 鈍甲
(人の句) 母さんが笑うと家に花が咲く 栄子
(佳 吟) 母の愛計り知れない程の嵩 壽峰
極道の父に我慢の母でした 松井秀夫
箸づかい母の躾を褒められる 哲男
どの子にもひとつずつある母のひざ のぶ久
コスモスが乱舞無人の駅に母 ダン吉
(軸 吟) 亡母より生きてみたいと欲を出す 千代
運命
中岡千代美 選
(天の句) ドングリの落ちた所が川の中 信二
(地の句) 誕生日運命線が伸びている たもつ
(人の句) 運命の人がこの人だったとは いさお
(佳 吟) 喜寿過ぎて今さら運命とは言えず 近藤正
私には届かぬ定め赤い糸 廣子
運命の扉はふいに開けられる 恵美子
運命は自分で決めたつもりだが 鈍甲
案外と楽しみました良い運命 はこべ
(軸 吟) 三度目の偶然運命の人だ 千代美
時事吟
北野 哲男 選
(天の句) そろそろと詰ん読崩す虫の声 栄子
(地の句) 太陽と月のおふたり御婚約 朝子
(人の句) かわうそに御釈迦様さえ驚いた 都武志
(佳 吟) 文春よたまには美談後を追え 一歩
北打つやアベは東に武器買いに 太郎
やっと秋日本の四季のありがたさ 隆昭
えりも町防空頭巾売り切れる はな
正恩に見せてやりたい彬の句 隆昭
(軸 吟) 訊かれない齢を言いたい歳になり 哲男