あかつき川柳会第141回句会は4月13日(金)、投句者38名を含め、93名の参加で開かれました。初参加は四條畷市の阿部俊八さん、奈良県平群町の木嶋盛隆さんのお二人です。今月のお話は「川柳行脚イン・インド」と題して、たむらあきこさんが昨年亡くなられた前田咲二さんの供養を兼ねて訪れたインドへの旅についてされました。まず、インド北部のバラナシ、その歴史は紀元前 11 世紀にまでさかのぼります。インド最大の聖地である同市には、ガンジス川の聖なる水での沐浴や、葬儀を行うヒンドゥー教の巡礼者が多く集まります。このガンジス川の畔で死者を火葬しガンジス川へ流す葬儀が毎日何百と行われています。

続いては日本人にはなじみのないトイレの話、トイレでは左手で処理をし、その後手を洗いますので左手は不浄の手とされています。したがってこの手で握手をしようものなら大変なことになるとのことです。トイレットペーパーは装備されていませんからくれぐれもそれをもってインドへ行くことが望ましいそうです。吟行24句の内数句を紹介します。「シヴァ神の結跏趺座から入る異国」「身の内の満月シヴァ神に妖気」「乗り物は牝牛コブラは首に巻く」「引き摺っているカーストのまどう土」「カーストの結んだ石がほどけない」

中川ひろ介 選
(天の句) 耐えて来た日々がほどける水の音 紀乃
(地の句) 睡蓮鉢の底から越冬のメダカ 浩子
(人の句) 後期です水分補給欠かせない 栄子
(佳 吟) アベ政治水攻めにして吐かせたい 鮎子
中国が日本の水を狙ってる 櫻田秀夫
原発ゼロ黒四の水まんまんと 克己
玉の水コロコロ蓮の葉と遊ぶ 壽峰
水割りは薄いが水分補給欠かせない 栄子
(軸 吟) 水のある惑星見つけ夢開く ひろ介
漸く
井澤 壽峰 選
(天の句) 咲き終えて桜の花にある安堵 喜八郎
(地の句) 退院の漸く離縁した病魔 欣之
(人の句) 冬眠を終え大輪の花咲かす
(佳 吟) リハビリを積んで漸く娑婆の風 朝子
三角や四角漸く丸い石 寿之
親の老い漸く理解できる今 満知子
フクシマはやっと七年まだ七年 ひろし
荒波にもまれて顔も丸くなり 信二
(軸 吟) 50年やっと築いたこの絆 壽峰
西
大久保眞澄 選
(天の句) 尋ねたいけど西方浄土行ったきり 松井敏子
(地の句) 黄昏も悪くないよと西の窓 満知子
(人の句) 西行も桜の下の樹木葬 鈍甲
(佳 吟) 陽が落ちた昼行燈の出番来た
西方へ向かう命の真っ赤っ赤 朝子
雨ニモマケズ疲れた母は西にいる 俊八
お迎えに来てと阿弥陀へ縋りつく 栄子
天平の甍聳える西の京 欣之
(軸 吟) 窓際の西日で年金が枯れた 眞澄
目的
山田 順啓 選
(天の句) 目的に引き締められている余白 あきこ
(地の句) 達成をするまで茶断ちしています 浩子
(人の句) 目的が生きる支えになっている 栄子
(佳 吟) 徘徊も初めの目的は散歩 満知子
目的もないのに改ざんはしない 俊八
目的へ向かう努力の熱い汗 朝子
トンネルの半ば目的までの距離 紀乃
近道を狙い目的から外れ 近藤正
(軸 吟) 途中下車に興じて終着駅はるか 順啓
時事吟
加山 勝久 選
(天の句) 一帯一路ジンギスカンが蘇る 一志
(地の句) 民営化メトロの文字が馴染めない 栄子
(人の句) 米と露の冷戦シリアで生き続け 克己
(佳 吟) 南北対話すすんじゃ困る安倍の陣 鈍甲
少女像日韓にある深い溝 克己
満月を無粋に渡るオスプレイ 哲男
南北の握手和解か眉唾か 欣之
異常気象桜は咲くし雪も舞う 喜代志
(軸 吟) コピペ終え改ざん済ませ天下り 勝久