あかつき川柳会第148回句会は11月9日(金)に、投句38名を含み92名の参加で開かれました。初参加は八尾市の周防慶子さんと高知市の北村惠右さんです。今月のお話は、あかつき川柳会の顧問でもあり、大阪平和委員会理事長の近藤正さんが、「沖縄は今」と題して沖縄県知事選挙、基地の現況と将来に関して話されました。まず、9月30日の沖縄県知事選挙で、故翁長雄志さんの遺志を受け継いだ玉城デ二―さんが、自民/公明/維新がその所属する国会議員を大量に投入し強力に支援した対立候補を大差で退け勝利したことは、オール沖縄の勝利として高く評価すべきことで、これは単なるイデオロギーの論戦ではなく沖縄、しいては日本のアイデンティーに関わる問題であると指摘されました。

次に、沖縄の基地の現状は①日本全国の米軍基地の7割が沖縄県に集中しており、②在沖縄米軍の6割が海兵隊、いわゆる殴り込み部隊であり、③関連する犯罪件数が過去10年で6000件もあり、④米軍後期事故700件余もあり、沖縄県民はそのために耐えがたい辛苦を余儀なくされていると強調。また、先ごろからの南北・米朝首脳会談は北東アジアの非核化への歴史的な第一歩であり、ペリー元米国国防長官の「北朝鮮の脅威がなくなれば、在日米軍、特に普天間基地に駐留している部隊の存在理由がなくなる」との言を引用して、朝鮮半島の一日も早い和平を願うと締めくくられました。

古今堂蕉子 選
(天の句) 死神と貧乏神に用は無し いさお
(地の句) おおゴッドいちど頼みを聞いてくれ 近藤正
(人の句) 告白は天神さんの松の下 信二
(佳 吟) 神さまも時どき旅行お留守なの 昌代
余生へと女神がくれた趣味一つ 堅坊
逆らうと飯が出てこぬ山の神 栄子
仏壇も氏神様も同居して 直子
神仏はみんなの心奥に住む 喜代志
(軸 吟) 神さまも歳か頼み忘れはる 蕉子
食べる
大堀 正明 選
(天の句) 駅弁にふるさとの風のせて食べ 勝久
(地の句) 食べごろに絵の果物が熟れている 茶助
(人の句) 節食を心掛けてるこころざし 鈍甲
(佳 吟) お好みは浪速の熱いコテで食う 鮎子
とりあえずきれいに食べてくれる夫 理恵
秋刀魚に銀シャリ日本人でよかったな 克己
嫁はんの歳月食べて今の僕 栄子
柿食えば聞こえる里の祭り笛 克己
(軸 吟) 食べることが趣味で見事なメタボ腹 正明

宇都満知子 選
(天の句) 遠くなる耳と優しい妻といる たもつ
(地の句) ささやきに弱い耳にも意地ひとつ 紀乃
(人の句) 飢餓の子の息の根を聞くパンの耳 信二
(佳 吟) 聞こえないふりした耳が悔いている 小山恵美子
聞きたくはないことまでも拾う耳 みつ江
騙された振りをしている母の耳 一歩
安倍さんの耳には届かない辺野古 一志
聞く耳を金庫にしもているトップ 栄子
(軸 吟) 耳そうじ遠い記憶の母の膝 満知子
手段
竹村 穏夫 選
(天の句) 勝つためにあの手この手のありったけ 紀乃
(地の句) 死者が出てやっと手段を取る役所 栄子
(人の句) ここ以外切り札使うとこがない 克己
(佳 吟) 民主主義良くも悪くも多数決 壽峰
海渡る手段もなくて拉致家族 信二
微濁音で迫るとっておきの手段 浩子
一刀両断手段選ばぬトランプ氏 松井敏子
煮え切らぬ彼へ促すデキチャッタ 松井敏子
(軸 吟) 獣害へ強硬手段過疎の村 穏夫
時事吟
中里はこべ 選
(天の句) 溝深く琉球処分にたどり着き 勝久
(地の句) カニ解禁届きませんな庶民の手 直子
(人の句) 秋叙勲川柳人が洩れている 一歩
(佳 吟) 同窓会皆違って皆いい 博美
秋車内書を読む人に和まされ 太郎
新米を送ってくれた母の愛 善之
稀勢の里一人横綱試される 蕉子
寄り添ってそして粛粛埋め立てる ダン吉
(軸 吟) 三猿で政府沖縄踏みにじり はこべ