あかつき川柳会第168回定例句会は7月10日(金)、116名の投句による「誌上句会」として開かれました。32都道府県在住で日ごろから投句で参加されている60名に加え、新型コロナウイルスの感染拡大により通常の句会に出席ではなく、投句による参加に代えられた方が56名です。◆大阪、兵庫、京都、奈良では感染者数が急増しています。諸外国の十分の一程度しか検査をしていないことを考慮すると、実際の感染者はもっと多いと想像され、そのことにより不要不急でなくとも外出が手控えられます。◆あかつき川柳会としてもそのような環境では、皆さまがより健康に留意されつつ、「誌上句会」をより充実させ、会報「あかつき」を全国の同人、誌友の交流の場として充実させ、川柳を楽しんで詠んでいただきたいと考えています。

梅雨も明けて毎日暑い日が続きます。こんな時は自宅のエアコンの効いた部屋で、新型コロナウイルスに気をつけ、熱中症に気をつけ、川柳の作句、推敲、そして投句してください。◆朝日歌壇でも自宅で生活を楽しむ句がありました。「ほんのりと瀬戸の塩ふり蒸したての新じゃがを食ふ自粛のこひる 嘉麻市 野見山弘子」「読んだ本読みさしの本読みたい本読んだことさえ忘れてる本  さいたま市 丹羽 和代」「栄螺焼き伊勢志摩限定ビール飲むコロナが地元を見直せと言う  松阪市 こやまはつみ」「アラートで土日は自粛し部活無し肥った梅煮てジャムに癒さる  朝霞市 青垣  進」
席題はありません。

(天の句)
(地の句)
(人の句)
(佳 吟)
(軸 吟)
釣る
八田 灯子 選
(天の句) 優しい人にホイホイ釣られたい孤独 堅坊
(地の句) キャッチ&リリースいのちいとおしむ 楓楽
(人の句) 釣れた釣れた空き缶にゴミ袋 千代美
(佳 吟) いい言葉釣り上げたいと五七五 堅坊
遠い日の釣りそこなった恋ふたつ 河野正
よっ社長ひと言が釣る鼻の下 敏治
男一匹白いうなじで釣り上げる 千代美
札束という人間を釣る疑似餌 和大
(軸 吟) 道頓堀川何を釣っているのやら 灯子

居谷真理子 選
(天の句) 峠道を越えて価値観が変わる 美春日
(地の句) 里帰り峠で空気入れ替わる 穏夫
(人の句) その先に幸はあるかと峠越え
(佳 吟) 人生の峠ここらでひと休み 松井敏子
ハイキング峠の茶屋はコンビニ化 勝久
竹ノ内峠越えれば神の里 いさお
乗り遅れた同士峠の停留所
喜び悲しみ半分ずつのこの峠 公輔
(軸 吟) ここからは下り靴ひも締め直す 真理子
余白
中岡千代美 選
(天の句) さよならの前が随分空いたまま 川口武
(地の句) 余白があると落書きがしたくなる 灯子
(人の句) たっぷりの余白油断をしてしまう 栄子
(佳 吟) たっぷりの余白喰っちゃ寝繰り返す 穏夫
まだ何か出来そう自分史の余白 瑠美子
少年の未来余白の無限大 朝子
川柳の合間に家事をしています 楓楽
落款の赤が余白を引き締める 浩子
(軸 吟) ほっこりしましょう余白になりましょう 千代美
時事吟
西川ひろし 選
(天の句) 不都合は闇から闇へ公文書 河野正
(地の句) 香港の憂い届かぬ民の声 満智子
(人の句) 香港へ民主を飢餓の子にパンを いさお
(佳 吟) 貧富の差命の格差見たコロナ 鈍甲
テレワークしてる旦那がゴミに見え 心平太
説明する責任とるという軽さ 蕉子
効率化かくれみのにすマイナンバー 河野正
切れ目なく貧困だけが増え続け 蒼水
(軸 吟) 電通の営業部長アベ晋三 ひろし