あかつき川柳会8月定例句会は8月14日に111名の投句による「誌上句会」として開かれました。75年前の8月6日に広島に原子爆弾が投下され、さらに9日に長崎にも投下され、そして15日に太平洋戦争が日本帝国主義の敗北により終結しました。安倍総理大臣は例のごとく両市で行われた平和祈念式典に参列し、「立場の異なる国々の橋渡しに努める」というだけで、核兵器禁止条約については何も触れませんでしたし、注目されていた「黒い雨」訴訟で、国の援護対象区域外にいた原告84人全員を被爆者と認めた広島地裁判決について安倍首相は広島での質問には何も語らず、帰京後に国が控訴しました。「七十五歳を引けば少年少女なり『黒い雨』を訴えし人ら   大和郡山市 四方  譲」と朝日歌壇にありました。

「戦没者を追悼し平和を祈念する日」で、天皇陛下は「・・・過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い・・・」と述べ、ドイツのワイゼッカー大統領の「過去に目を閉ざすものは現在にも盲目になります」との演説を想起しましたが、安倍総理は「我が国は、積極的平和主義の旗の下、国際社会と国際社会と手を携えながら、世界が直面している様々な課題の解決に、これまで以上に役割を果たす決意です。」には、しらけムードがあきらめムードに変わりました。具体的にこの7年間何をなさいましたか?
席題はありません。

(天の句)
(地の句)
(人の句)
(佳 吟)
(軸 吟)
しつこい
中薗  清 選
(天の句) 鉄面皮幾つ重ねて政 なずな
(地の句) 大阪はコテコテの味好きやねん はこべ
(人の句) 線条帯しつこいほどに降らす雨 桜田秀夫
(佳 吟) 変異してしつこいコロナ長期戦 康信
四面楚歌まだ改憲を諦めぬ 鈍甲
彬の碑粘り強さで除幕へと 鮎子
しつこくも線状降雨無慈悲すぎ
しつこかった母の小言は愛だった 楓楽
(軸 吟) いつまでも人類いじめコロナ菌

吉村久仁雄 選
(天の句) ドラマ抱きドラマを創る球児たち 正治
(地の句) 球形の荒野彷徨う青春譜 克己
(人の句) 球受ける形に蓮の花開く 美春日
(佳 吟) 夏空は白球が好き汗が好き 直子
決め球はデートに手作りお弁当 みつ江
温暖化青い地球も赤くなる 壽峰
殿堂入りの一ページは球拾い 信二
杉玉が緑に変わるさぁ酌まん 楓楽
(軸 吟) 地球儀が右旋回を加速する 久仁雄
砂漠
次井 義泰 選
(天の句) 砂漠化しているんだ独裁者のハート 美春日
(地の句) パソコンを抱いて砂漠のど真ん中 ゆうこ
(人の句) ビッグイシュー砂漠のような街に立ち
(佳 吟) 政界は女性を育てない砂漠 正治
駱駝消えシルクロードを行く戦車 勝久
砂漠ラリー王者パジェロの名が消える 川本信子
草原を砂漠に変えるバッタ群 桜田秀夫
温暖化アマゾンいつか砂漠へと 康信
(軸 吟) 補償せず私権制限する政治 義泰
時事吟
宮野みつ江 選
(天の句) さるすべり不戦の誓いしかと聞く 克己
(地の句) 75年の苦節勝訴の黒い雨 ゆうこ
(人の句) 百までが目標戦争生きた老 和大
(佳 吟) ご先祖様だけを迎えるコロナ盆 渓節
75年やっと救済黒い雨 万作
被爆女子鏡が嫌と平和説く 古池蛙
原爆投下必要論をまだ言うか 一歩
コロナ禍に連帯の二字ふさわしい ダン吉
(軸 吟) 月桃の香りを偲ぶコロナ鬱 みつ江