あかつき川柳会の175回定例句会は2月12日に「誌上句会」として開かれ、122人が投句で参加しました。この内51人は通常ならば句会に出席している筈の方で、71人は遠方に住んでいる方で従来とも投句で参加される方でした。◆新型コロナ禍により意に反して不必要?な外出自粛を余儀なくされているのですから投句も早めに着くのではないかと当初思いましたが、締め切り前日、締め切り当日の消印の投句が50%を占めていますので、時間が十分あってもなかなか余裕をもって作句、郵送は出来ないものですね。しかしここ数か月間は常に120人前後の方が投句で参加されますのでうれしい限りです。

先日、朝日歌壇の短歌時評に歌人の松村正直さんが、短歌には社会時評と呼ばれるカテゴリーがあり、政権批判、基地問題、テロ事件以外にもいろいろ私たちが関わっている社会問題をも詠むとあった。◆また、俳人の夏井いつきさんが、悪態俳句のススメと題して、「怒りや憤りに心が支配されそうになったら、ちょっと待てよ、これも句材ではないかと、立ち止まってみる。そしてその怒りを俳句にしてみると、何句か紹介していました。◆短歌、俳句、川柳の垣根がだんだん低くなって行きそうです。「スペイン風邪を生きぬきし詩人を福岡の獄で死なせた治安維持法 宇治市 紺谷 延子」と、尹東柱(ユン・ドンジュ)を詠んだ短歌が印象的でした。
席題はありません。

(天の句)
(地の句)
(人の句)
(佳 吟) 写真は全て鶴橋の商店街のものです。
(軸 吟)
まだまだ
上山 堅坊 選
(天の句) 人が好きまだまだ賀状減らせない 楓楽
(地の句) ままごとをまだまだしたい二人です 心平太
(人の句) 老いたとて未だ青雲のこころざし 北朗
(佳 吟) マスク下の紅一筋が見たくなり 洋二
まだまだ上めざす聡太の夢無限 一歩
伸び代がまだまだあると背を押す 栄子
原発のまだまだ残る後遺症 ひろ子
鍋のぞく子にまだまだと笑いかけ 直子
(軸 吟) 残り火がまだまだ燃えている米寿 堅坊

鴨谷瑠美子 選
(天の句) 一握の砂故里の浜思う 克己
(地の句) 一と書く漲る風に立ち向かう ダン吉
(人の句) 義を見れば一も二もなく出す勇気 河野正
(佳 吟) 一筆が心と心をつないでる
歳老いて一人芝居が上手くなる 北朗
胸キュンの魔法にかかる一目惚れ 朝子
ろうばいが一葉残して花開く 郁夫
一蓮托生みなで収賄怖くない 敏治
(軸 吟) 一から十まで喋ったあとに騙される 瑠美子
元気
油谷 克己 選
(天の句) 自家農園元気の種が埋めてある 信二
(地の句) 目力で元気確かめ合うマスク 一志
(人の句) もたもたに元気な妻が激くれる 鉄心
(佳 吟) コロナにも負けず元気に吞んでます 裕之
句を束ね元気届けるあかつき誌 正治
常識をはみ出していく園児の絵 栄子
元旦に金剛山で樹氷見る 万作
はち切れる元気風船は天へ 比呂志
(軸 吟) 寒風も元気に弾む膝小僧 克己
時事吟
鈴木いさお 選
(天の句) 戦争をする大人ってバカだなあ 和大
(地の句) 自粛にも慣れてじっくり豆を煮る ひろ子
(人の句) 寒椿一輪挿して冬籠り 鉄心
(佳 吟) 腹心の部下が密かに爪を研ぐ 珠子
コロナ禍へ肩身の狭い花粉症 朝子
川柳のネタはゴロゴロ菅政治 古池蛙
GoToのツケは飲み屋に支払わせ 渓節
今はもう普通に生きる難しさ ひろし
(軸 吟) 民主化の波が遠のくミャンマー いさお