7月誌上句会は7月8日消印有効の投句に117名が参加し開かれました。新型コロナ禍による誌上句会は既に一年半も経ち、すっかり日常化してしまいました。ただ、事務を行うスタッフは最小限の数に制限されていますので、投句を締め切った後の事務作業はかなり忙しくなりました。投句を整理して各選者に送り、送り返されてきた入選句のタイプ打ち、会報『あかつき』に他の記事と共に編集、印刷所へ送付、第一次、二次校正、そして月末に発送等が主な仕事です。厳密に第一次、第二次校正をして、今度はミスがないと自負していてもやはりミスを指摘され、次号に訂正・お詫びの記事を載せるのは侘しいものです。新型コロナ禍はまだまだ続きそうですのでもうそろそろノーミスになるのではないかと変な自負すらしつつあります。

ある日の朝日歌壇には「江戸っ子は集団免疫できました緊急事態という言葉には   三鷹市 山縣駿介」「日本にもものが言えない日があった今は言えるが聞く耳はない   京田辺市 鵜飼礼子」「赤城敏夫の良心示す『赤城ファイル』上司生き延び巨悪は黙る   山形県 石原学」「大臣言う『一生懸命やってます』会社にてわが吐かば怒られん   和泉市 長尾幹也」「ああ日本、立花隆の死去よりもトップニュースはパンダの出産   西宮市澤潟和子」等々があり、真摯に新型コロナウイルス対策に向き合っていない政府、国民に事実を隠そうとしている政府、対応するマスコミの価値観に対する歌人の抗議が見られました。
席題はありません。

(天の句)
(地の句)
(人の句)
(佳 吟)
(軸 吟)
ついに
長川 哲夫 選
(天の句) 青山は心にあるとついに知る 黒兎
(地の句) 蛇行した苦労もついに海に入る 北朗
(人の句) ベランダの七夕ついに二年越し 春雄
(佳 吟) 東京を走れずついに哭く聖火 正治
神サマになってしまった鶴彬 一筒
ついに来た少しはボケて人気者 峯二
街中の赤提灯を消すコロナ 一志
神様の呉れた臓器に傷をつけ まさあき
(軸 吟) 去る者は追わず棚田の月が友 哲夫

古今堂蕉子 選
(天の句) 危機一髪ここぞと友の手が伸びる 昌紀
(地の句) そんな手があったか王将唸りだす 比呂志
(人の句) 手を尽くしたと医師の伏し目が胸にしむ 敏治
(佳 吟) お膳立てどおり握手をした巨頭 保州
失敗が新しい手を連れて来る 龍せん
手も触れず声も届かぬおもてなし 良岩
リモートで施設の母に手を振る日 つよし
認知症新薬出ても手が出ない 正治
(軸 吟) 手拍子で茶碗叩いて歌いたい 蕉子
無視
八木 侑子 選
(天の句) 遺骨まじりの土砂で基地とは許せない ゆうこ
(地の句) 今何処の施設に居るかお婆さん 春雄
(人の句) 無視をするポーズでアンテナ建てている 比呂志
(佳 吟) 視界にはそもそも入らないらし 立蔵信子
無視された彬の生命甦る 和大
半額の大根黙殺ピンヒール 信二
鼻閉じて通るイカ焼き屋の前を 一筒
あらあんたそこに居たのと白々し 一志
(軸 吟) 負けと知り行く人をわざと無視 侑子
時事吟
松本千鶴子 選
(天の句) 策のない答弁いつも読む総理 和美
(地の句) 意義薄い東京五輪無駄遣い 信明
(人の句) 戦車のよう飲酒運転学童へ 五二
(佳 吟) ワクチンで死んでもやはり自己責任 征之
森友の裏で暗躍するファイル 壽峰
赤木さん抗議の記録命かけ 万作
見通しは値上げをすれば減る受診 比呂志
神様に賽銭ドロが手を合わす 櫻田秀夫
(軸 吟) 五輪やれコロナウイルスほくそえむ 千鶴子