あかつき川柳会第181回定例句会は8月誌上句会として8月10日消印有効の投句121名の参加で開かれました。初参加は枚方市の是文蘭(ゼブラ)さんです。コロナ禍緊急事態宣言下でオリンピック・パラリンピックは無観客で強行され、「森友学園」への国有地売却を巡り、財務省の決裁文書改ざんを苦に自殺した近畿財務局職員、赤木俊夫さんのいわゆる『赤城ファイル』は肝心な部分はほとんど黒塗りで開示され、新型コロナワクチンを巡る数々の不手際による騒動等でにぎわい、時事吟の話題には事欠かない8月でした。

時事吟にも「アスリートコロナ猛暑と競う夏  古池蛙」「五輪終え支持率だけは下げている  ダン吉」「始まればやはり気になるメダル数  安保子」「コロナだけ残しバッハの五輪去る  一志」等がありました。一方朝日歌壇を覗いてみると「オリンピック一切見ないと前見つめ医師は重たき声で言い切る  柏市 浅利早苗」「『オリンピック観るくらいなら眠りたい』現場の激務を語る看護師  観音寺市 篠原俊則」「弁当が四千食も破棄され路上生活者を狩る五輪  長野市 弥津信子」「反対も応援もしたいジレンマを矛盾というならそもそもが矛盾  川崎市 川上美須紀」等厳しいものがありました。
⋆席題はございません。

(天の句) **一万坪の原っぱが144軒の分譲住宅に。
(地の句)  
(人の句)
(佳 吟)
(軸 吟)
ほどほど
靍田 寿子 選
(天の句) モリカケをほどほどにしてなるもんか 風子
(地の句) 古希過ぎて妻の勤務はフルタイム 櫻田秀夫
(人の句) 良し悪しは誰もわからぬほどほどで 蒼水
(佳 吟) 分に足る幸せでよし花を摘む 楓楽
ロボットはヒューマンライフほどほどに 満智子
いい加減にしろとコロナを 穏夫
ほどほどにアダムとイブで居る二人 心平太
ほどほどにできぬ政府の無為無策
(軸 吟) ほどほどにさせぬサプリのお取り寄せ 寿子

水野 黒兎 選
(天の句) 目を閉じてみれば古里そこにあり まさあき
(地の句) 帰省待つやさしい母と鬼瓦 敏治
(人の句) 兄嫁の仕切る実家の遠い距離 紅絵
(佳 吟) 無医村に医師来る話まだ未定 比呂志
里神楽守る覚悟のUターン 克己
五十年住みついて苔里になる 満智子
三世代繫げ東京だって里 和大
五十年添うてあなたの里になる 心平太
(軸 吟) 陀羅尼助心の里の常備薬 黒兎
退治
大西 將文 選
(天の句) 私の四隅に退治できぬ鬼 栄子
(地の句) 退治した夜叉がくるりと変異する
(人の句) 侵略の美化に手を貸す桃太郎 古池蛙
(佳 吟) 鬼退治鬼は私の中にいる 一歩
退治するそれはコロナか人間か 昌紀
鬼だけが背負う童話の悪夢かな 蒼水
退治してください腹が減ってきた 心平太
黒い影殺虫剤を振り翳す 満智子
(軸 吟) やり遂げて何か空しい鬼退治 將文
時事吟
鈴木いさお 選
(天の句) ナガサキを憶う鎮魂鐘の音 高鷲
(地の句) 草取りの汗を励ます蝉時雨 ゆうこ
(人の句) 76年掛けて勝訴の黒い雨 壽峰
(佳 吟) ワクチンに負けじとコロナ変異する 和子
ランドセルの中身はこの国の負債 美春日
読み飛ばしではありません本音です 勝久
スタンドで応援してる赤とんぼ 敏治
すごいなぁマラソン選手のメンタル 立蔵信子
(軸 吟) 二回目はもう済んだかと娘のメール いさお