あかつき川柳会12月定例句会は、出席者41名、投句者62名の総勢103名の参加で、12月13日に開かれました。今月のお話は当会幹事長の冬の卜が「悪知恵の犯罪者」と題していたしました。詳しくは「あかつき」232号をご覧ください。

「あかつき」232号(2025年1月号)の裏表紙に、当会の2月句会の兼題、時事吟を発表しましたが、その中で立蔵信子選の兼題「物語」は間違いで正しくは「逆恨み」です。 従いまして、2月句会の兼題は「逆恨み」立蔵信子選、「キャンセル」坂裕之選、「皿」油谷克己選です。 既に作句された方、準備された方には深くお詫びいたします。
風呂
鈴木 栄子 選
(天の句) しがらみと悩み溶かしているゆず湯 まさひろ
(地の句) 猫舌のくせして熱い風呂が好き いさお
(人の句) 露天風呂並べています晒し首
(佳 吟) 目が覚めたら銭湯一つ消えていた 一歩
お風呂屋で笑い転げたああ昭和
年寄りは風呂を入るも命がけ 寿子
また一軒風呂屋が閉じた灯が消えた 真理子
ほこほこと笑顔こぼれる風呂上り 昌代
(軸 吟) ひとり居のお風呂は恐いご用心 栄子
忘れたいこと
宮本  緑 選
(天の句) 青春の嵯跌が疼く独り酒 裕之
(地の句) 切り刻む宣告余命あとわずか まさあき
(人の句) 助けてと母の頼みを蹴った日を 惠美子
(佳 吟) 忘れたいことほど胸に在る不思議 千代
失恋の過去切り刻むシュレッダー 英雄
主人逝き妹までも逝った年 千代
友達で居ようと言われた秋の海 佑治ゼミ
五十八年忘れたいだろ袴田さん 分擴
(軸 吟) 好きの意味勘違いした十五歳

居谷真理子 選
(天の句) 質の良い眠りいざなう膝枕 奏子
(地の句) 質悪い当選兵庫またもめる 洋次郎
(人の句) 質疑中眠気覚ましに見るスマホ 高鷲
(佳 吟) 否応も無く質素になった物価高
ミクロの技術ジャパンの質を見せ付ける ゆうこ
政治家に質を求めて笑われる まさあき
無駄骨は折らない質のナマケモノ 紀子
無言だとイエスになるぞこの国は 昌芳
(軸 吟) 人の世話して嫌われる損な質 真理子
潮時
銭谷まさひろ 選
(天の句) 潮が満つオギャーの声が聞こえそう 比呂志
(地の句) 潮時は今だハンコを強く押す 利秋
(人の句) 凹んでも潮時まだと縋る椅子 雅游
(佳 吟) 船頭の潮目見る眼が漁獲量 鈍甲
老いを蹴っ飛ばしてウイッグを被る 寿子
潮時か赤いドレスが似合わない 寿子
錆びついた脳に幕引き迫られる 和美
潮時へ象は静かに姿消す 朝子
(軸 吟) 終末時計待てよ止まれよ平和賞 まさひろ
時事吟
井上 一筒 選
(天の句) 砂時計真横に寝かせたい師走 六点
(地の句) たこ焼きの蛸がスリムになってきた いさお
(人の句) SNSより恐いおばちゃんネット 眞澄
(佳 吟) 少子化の風も淋しいかくれんぼ 寿子
ユン様乱心コリア何処へいく いさお
淋しいが動けるうちに墓じまい 加お里
ああ自力失せて野党を杖とする 昌代
トランプの舌舐めずりの音がする 眞澄
(軸 吟) 石破亭しげる立て板に水流す 一筒