あかつき川柳会8月句会は、出席者40名、投句者51名、総勢91名の参加で8月8日に開かれました。初参加は松原市の吉野一心さんです。初めに、先日亡くなられた山田吾一さん(中四国、九州担当地域幹事)のご冥福を祈り黙祷を捧げました。

今月のお話は、こはりつよしさんが「川柳番傘昭和20年4月号紹介」と題して話されました。番傘本社は戦争中も会報誌を発行し続けていて、当時の社会状況を伝える貴重な資料となっています。『復仇編」と題する巻頭言は、焼夷弾が雨あられと降り注ぐ空襲にやいする心情を伝えています。渡邊虹衣さんは『魔火と闘ふ』と題して空襲の様子を伝えています。
タオル
森  廣子 選
(天の句) 妻と揉め子供らタオル投げ入れる 一心
(地の句) 誰か総理にタオルを投げてあげなさい いさお
(人の句) 特攻の鉢巻帰りのないキップ 一歩
(佳 吟) よく冷えたタオルが今は大スター 裕之
バスタオルのまま飛び出す震度 いさお
ピンポンへ返事に困るバスタオル 六点
ぞうきんで最後の奉仕するタオル 栄子
働きもんタオル一日ありがとう ダン吉
(軸 吟) タオル三枚貰いビールを返す羽目 廣子
移り気
齋藤さくら 選
(天の句) 興味ある事にあちこち顔を出す 裕之
(地の句) 次々と男に惚れてまだひとり 栄子
(人の句) 三日前花ちゃん好きで今あけみ 廣子
(佳 吟) 移り気な女は風を気にしない 六点
紫陽花は移り気七色で惑わせる いさお
お互いに浮気もせずにダイヤ婚 福貴子
この前は確か好きだと言ったよね 宗鉄
AとBどちらも好きでCも好き 壽峰
(軸 吟) はっきりと念を押されて気が変わる さくら
後ろめたい
水野 黒兎 選
(天の句) 口実の嘘に続々見舞客 欣之
(地の句) デパ地下で買った料理をほめられる 常男
(人の句) うしろめたさ優しくされてうろたえる 六点
(佳 吟) 子にさえも被爆したこと隠す母 廣子
禁句だが「さっき聞いた」認知症 鮎子
小さくて気付けなかった子らの夢 心平太
割り勘のせめて端数を出す酒豪 恵子
約束を果たせぬ前にたび立たれ 五二
(軸 吟) クジ引きでまたも役員まぬがれる 黒兎

田吹 宗鉄 選
(天の句) 美ら海へ砂上の基地を造らされ 英雄
(地の句) 摩天楼も億ションも皆砂の上 文聡
(人の句) ちっぽけな自分とわかる砂丘です 信子
(佳 吟) 折角のシジミの汁も砂でわや 廣子
土砂降りの屋根で生きてる鬼瓦
深海の砂にも宝レアメタル 丈彦
さざれ石が砂にならない国に住み 文聡
日中友好黄砂が飛来する 眞澄
(軸 吟) パンダさん返ってきてと白良浜 宗鉄
時事吟
塩田 鮎子 選
(天の句) 政治家の吹く公約というラッパ
(地の句) ファーストを掲げ躍進胡散党 河野正
(人の句) 酷暑日に日傘男子の仲間入り 渓節
(佳 吟) 被団協被爆者非核光る秋 一心
食費より命を守る電気代 恵子
核禁の腹の決まらぬあの総理 ダン吉
転換期に輝きを増す星一つ 鈍甲
41.8度日本列島焼芋化 高鷲
(軸 吟) ドロップ缶蛍の吐息に似て悲し 鮎子