あかつき川柳会の第171回定例句会10月9日(金)、28都府県から116名の投句による「誌上句会」として開かれました。菅内閣が発足したので、これに関連する句が時事吟入選句の三分の一を占めました。「デジタル庁ますます老いはほっとかれ  楓楽」「自助共助しょうがないから公助つけ  郁夫」「勝ち馬を愛でるメディアの節のなさ  河野正」「政党は公助真っ先助成金  太郎」。続いては例月同様に新型コロナに関するもの「コロナ禍も集う彬の百日紅  高鷲」。しかしあれだけマスコミをにぎわしている日本学術会院候補のうち6人を菅義偉首相が任命せず「総合的・俯瞰的」とあいまいな答弁を繰り返している問題に関しては数句しかありませんでした。「忖度をしない学者は拒否をする  万作」。

一方で朝日歌壇を覗いてみると「あなたじゃない拒否されたのは民主主義だ欠けゆく月が日本を照らす  松山市 岡本 秀美」「政権に歴史に学ぶ人なきか学術会議の人事介入  入間市 有賀 政夫」「『忖度』の次は『俯瞰』の字と意味をせっかくだから皆で覚えよう  岐阜県 箕輪富美子」「秋霖の学徒出陣忘るまじ学術会議攻めらるる今  南アルプス市 榊原 章男」等々がありました。問題が難しいので五七五では表現し難いのかもしれませが・・・
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(天の句)
(地の句)
(人の句)
(佳 吟)
今月の写真はすべて事務所付近にある三光神社に関するものです。
(軸 吟)
身勝手
土田 欣之 選
(天の句) 道路まで溢れる花の鉢並ぶ 紀乃
(地の句) 身勝手を許してくれた妻介護 松井敏子
(人の句) 美ら海に基地押し付けた私たち 美春日
(佳 吟) 児をふたり車に残し朝帰り 櫻田秀夫
責任は他人手柄は独り占め 壽峰
大国の身勝手余所の島狙う ひろ子
請求ばかりで感謝の絵馬がない 敏治
生態系壊し害獣扱いし
(軸 吟) 王様が裸になっていく気儘 欣之

横山 里子 選
(天の句) ひまわりの黄色に銃は似合わない ひろ子
(地の句) 学問の自由にともる黄信号 つよし
(人の句) 叱られて逃げた銀杏の黄の中へ
(佳 吟) 九条に黄信号が灯ってる 常男
黄信号無視して進む菅政治 光子
黄信号増えるこの世の衣食住 寿之
自粛して老化にどっと黄信号 紀乃
黄葉舞う風にも彩があるように 敏治
(軸 吟) 向日葵に狂気塗り込めゴッホの黄 里子
蒟蒻
美馬りゅうこ 選
(天の句) 蒟蒻のぐにゃりと曲がる物忘れ 瑠美子
(地の句) こんにゃくの腹探り合う縄のれん 信二
(人の句) 硬そうで実は優しいおこんにゃく 春雄
(佳 吟) 好物は蒟蒻野望など持たぬ 楓楽
私はワタシ打たれ上手な蒟蒻よ 昌代
こんにゃくと言えど歯ごたえある答え 比呂志
札束を見せこんにゃくにしてしまう 北朗
即答を避けて蒟蒻そしゃくする 常男
(軸 吟) こんにゃくのようなおひとへ膝まくら りゅうこ
時事吟
中里はこべ 選
(天の句) カウントダウン条約批准日は近し 近藤正
(地の句) かあちゃんの年金ボクの生活費 美春日
(人の句) 消費税下げて景気の道もある 一歩
(佳 吟) 自助公助自助説く総理など無用 鈍甲
自助が先やっぱり政治民捨てる 常男
レジ袋一枚買えぬ最賃増 渓節
貧困に追い打ちかけるコロナあり もと
定食屋庶民の味の秋刀魚消え 征之
(軸 吟) 残照の心せかせる平和の世 はこべ